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貫入(かんにゅう)
 コーヒーカップや湯飲み、絵皿など、陶磁器製品の表面にひび割れがあるのを、皆さん見たことがありますよね。このひび割れについてのお話です。
 陶磁器を焼く時にかけられる液体の釉薬は、窯での焼成時にガラス質に変化します。焼き上がった陶磁器は窯から出されて冷やされると、急激な温度変化によりガラス質の部分だけにひびが入る事があります、これを貫入(かんにゅう)と呼んでいます。表面部分だけのひび割れで、陶磁器本体が割れている訳ではないので、陶芸の世界でも一般的に破損とはされていません。表面のガラス質がペリペリと剥がれてくる事もありませんので、そのまま長く使っても大丈夫です。

 釉薬の種類や焼き上げる窯の温度などで、貫入が入る時と入らない時がありますが、タイのセラドン焼やベトナムのバッチャン陶器のように、細かいひび割れを味や風合いとしている陶磁器もあります。

 貫入が入ったティーカップや湯飲みを使っていると、茶渋などが割れ目に入り込んで、段々ひびの模様が濃くなってくる事があります。気になる時は、キッチン用の漂白剤を水で薄め、その中に沈めておくと目立たなくなります。

 骨董好きな人の中には、濃くなった貫入などで見た目が変化した物を「いい状態に育ってる」と表現する人もいます。貫入だけではなく、ほんの小さなピンホールのような釉薬の凹凸から、長い年月をかけて水分が内部に入り込み、深みのある色合いになる場合があります。これは新品には出せない味。侘び寂びに安らぎを覚える日本人の感性から来るものかもしれません。

 貫入か、陶磁器そのものの割れかをチェックする方法
 陶磁器の表と裏で、同じひび割れの筋が入っているのは破損の割れです。貫入の場合は表面だけのひびなので、表裏で同じ模様にはなりません。また、破損の割れの場合、陶磁器そのものをお箸などで軽く叩いたり指で弾いたりした時、きれいに響く澄んだ音はせず、プラスチックを叩いた時に似た音がします。(音で完璧にチェックする事はできませんので、ある程度の目安と考えてください。)
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